2024 年 35 巻 p. 1-8
本研究では,一般廃棄物焼却施設,とりわけストーカ方式による焼却のごみピットを対象に,中長期にわたるクレーン作業による均質化の効果を検証した。均質化は,ピットでのごみの撹拌,あるいはばら撒きによって行われ,炉内燃焼を安定させる重要な要因である。燃焼の安定は,発電のための主蒸気流量の安定や保守保全コストの抑制等に寄与する。この均質化について,一般廃棄物焼却施設の実機での中長期の検証はさまざまな理由で困難であるため,実機に代えて離散系システムシミュレーションにより検証した。撹拌とばら撒きそれぞれについて 31 日間を再現し観察した。その結果,ばら撒きは,撹拌に比べて,基準発熱量に近い値となるよう均質化したごみを炉へ投入できていることがわかった。一方で,クレーンの作業量を比較すると,ばら撒きは攪拌に比べて均質化や高低差解消の移送それぞれの作業が多く,クレーンの稼働率を高めることが明らかになった。