日本数学教育学会誌
Online ISSN : 2434-8619
Print ISSN : 0021-471X
論説
「量分数」の再検討
「測定値としての分数」を視点として
布川 和彦
著者情報
キーワード: 分数, 量と数, 測定
ジャーナル フリー

2022 年 104 巻 2 号 p. 2-13

詳細
抄録

 「量分数」という捉え方が分数の学習や指導についての議論で重視されている一方で,それが意味する内容が明確にされていないという現状に鑑み,本稿は「量分数」という捉え方が重視すべき分数の側面について検討したものである.

 そのためにまず「量分数」についての多様な捉え方やその捉え方に対する批判について考察を加え,量を用いて分数という新たな数を学習することから,測定の基準となる量の設定とその基準による測定とが多様な捉え方に共通する要素として含まれることを指摘した.次に,測定の文脈を意図的に用いて指導を行った先行研究を検討し,測定の文脈で学習する場合に着目すべき点を見出し,その視点からわが国の教科書での扱い方についても検討を行った.

 その結果,元となる単位とそこから構成される下位単位を明確にすること,単位分数の特殊性に配慮すること,整数の扱い方との整合性を検討することなどが必要だとの示唆が得られた.

著者関連情報
© 2022 公益社団法人 日本数学教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top