2022 年 104 巻 2 号 p. 14-23
本研究の目的は,事象等を多面的に捉えて考察することを取り入れた「データの活用」領域の授業実践における児童の反応を特徴づけるとともに,関連する批判的思考の指導への示唆を得ることである.そのために,第6 学年を対象に,「生活リズムを見直す」という目的のもとで,小学校第6学年と中学校第1学年のそれぞれ1学級から収集した時間の使い方に関するデータを用いて生活リズムについての総合的な比較を行う授業実践を計画・実施し,授業における児童の反応を分析した.その結果,一つの項目のデータを多面的に解釈するという従来の小学校の学習内容の応用として,多面的データ群を用いた総合的な解釈を学習活動に自然に位置づけられることがわかった.また,データ同士の関係に関する児童による批判的な思考が顕在化され,データ収集の方法についての検討を素朴ながらも全体の場で行うことができていた.その一方で,「生活リズムを見直す」という目的における見直す対象が,児童によっては不明確になりうることがわかった.