日本看護研究学会雑誌
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肝硬変合併肝癌肝切除後の看護情報
-呼吸ケアに関する看護基本情報の収集状況に関する考察-
明石 惠子草刈 淳子
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1991 年 14 巻 2 号 p. 2_27-2_36

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抄録
 肝硬変合併肝癌肝切除後の呼吸ケアは,看護婦の観察能力とそれに基づく対応に依存するところが大きい。今回,看護情報の収集状況について,当該患者4事例で呼吸ケアに関する基本情報を用いて調査し,以下のことが明らかになった。
 基本情報項目別情報収集率は,呼吸,循環,排泄、睡眠などの生理的側面の情報で高く(対象4事例全体の平均46%),心理社会的側面の情報の収集率(同29%)と比べて有意差が認められた。また,看護婦経験年数別による情報収集率そのものには差はなく,経験年数によってその収集率が異なる項目も認められなかったので,上述の現象は看護婦全体の傾向と考えられた。
2. 「看護上の問題の明確化」の過程で記載されていた情報は,呼吸ケアの関連要因としては不十分であった。
 看護情報は生理的,心理的,社会的三側面の情報が重要であるという認識は普遍化しているにもかかわらず,実務上は,生理的情報の収集が明らかに高率であった。
 看護婦各自が把握すべきと考える情報からスタッフの合意により基本となる情報を決め,それらについてはもれなく観察し,その状況変化を明記していく必要があるという具体的改善への示唆が得られた。
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© 1991 一般社団法人 日本看護研究学会
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