抄録
成人型アトピー性皮膚炎を持つ人々は,治療が難しく慢性の経過をたどるという疾患の特徴から,病院を転々と変え,様々な治療法を試す。 また,正規の医療機関以外の施設または個人により販売される水,入浴剤,石鹸,漢方,健康食品などの民間療法を試す傾向が見られる。 本研究は対象者のこのような行動に焦点を当て,行動の決定に影響を与える因子を抽出する事を目的とする。
研究方法は,対象者にインタビューを行い,得られた言葉をデータとして使用し,分析を行った。 対象者は成人型アトピー性皮膚炎を持つ男性7名,女性3名で,半構成的インタビューによりデータを得た。 分析手順は,コード化,コードの修正,カテゴリー化を主として,六段階を踏んだ。
分析の結果,それぞれに下位因子を含む,3つの因子が抽出された。
1. 周りからの働きかけ,自らの働きかけ,の2つの下位因子から成る,情報
2. 個人的環境,病院環境,入手のしやすさ,経済性の4つの下位因子から成る,都合
3. 軽快・変化無し・増悪,速効性の2つの下位因子から成る,効果の自己判定の3つが明らかになった。