日本看護研究学会雑誌
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看護職の法的責任認識に関する研究
綿貫 恵美子
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2002 年 25 巻 2 号 p. 2_61-2_69

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抄録

  本研究は,国内における看護職の法的責任認識の実態を明らかにする目的から,測定尺度の開発および職業上の法的責任に関する判断基準の解明を行なった。 看護職の法的責任認識をとらえるために,看護職の引責志向性尺度,医療過誤事例における看護職の実際的な法的責任判断を問う質問紙を作成し,首都圏の総合病院の看護職者1,361名に自記式質問紙調査を実施した。 因子分析の結果,引責志向性尺度は 「看護の職責自覚」 「医師への帰責否定」 に関連した妥当性,信頼性のある2因子からなることが明らかとなった。 実際的な法的責任判断は事故状況に強く左右され,看護職は 「自らが看護職一般に必要と考える水準のアセスメント能力を用いた時の事故発生の予見可能性」 「先行する医師の予見義務・内容に関わらない看護職者の主体的な発生予見・回避の必要性」 という2つの基準により,看護職の法的責任の有無および軽重の判断を下している可能性が示唆された。

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© 2002 一般社団法人 日本看護研究学会
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