日本看護研究学会雑誌
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日本語版BARRIERS Scaleの信頼性・妥当性に関する検討 ~第1報~
清村 紀子西阪 和子
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キーワード: BARRIERS Scale, 信頼性, 妥当性
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2003 年 26 巻 5 号 p. 5_101-5_121

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抄録

 本研究は,研究成果活用における阻害因子を測定する日本語版 BARRIERS Scale の信頼性・妥当性を検討することを目的に実施した。 BARRIERS Scale は,4因子 (Adopter ・Organization ・Innovation ・Communication) とその下位28項目から構成される。 回答は,0=わからない,を含む5段階のリカート尺度が使用される。 本研究は,2001年6月19日~2002年4月9日までの間に実施し,福岡県看護協会主催の看護研究に関する研修会参加者,ファーストレベル受講者,及び福岡県内の総合病院に勤務する看護職者527名を分析の対象としている。 日本語版 BARRIERS Scale の内部一貫性は,Cronbachα係数0.76~0.83で,充分に高く適切であることが示された。 内容妥当性は,看護系大学の教員2名で検討した結果,既存文献の内容を網羅し,文化的背景やシステムの相違から生じる不具合は認められなかった。 探索的因子分析と確証的因子分析を用いて構成概念妥当性を検証したところ,探索的因子分析の結果,累積寄与率36.048%,適合度検定は有意確率0.998 (χ2=188.068, 自由度=248) で高い適合度を示す5つの因子が抽出された。 5因子モデルは,確証的因子分析により GFI=0.902,AGFI=0.885,RMSEA=0.046,AIC=842.862,CAIC=1164.161でモデルがデータに適合していることが示された。 Funk らのモデルと比較すると,Innovation,Organization と Adopterで下位項目が一致する傾向が認められた。 Communication は,本研究の因子分析では融合する傾向が認められ,Funk らと本研究の因子構造は全く同じではなかった。 本研究における因子分析の。 本研究の結果から,日本語版 BARRIERS Scale の信頼性・妥当性が支持された。

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© 2003 一般社団法人 日本看護研究学会
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