抄録
健康女子を対象にIncentive Spirometryを用いた呼吸訓練を行い,換気機能への影響を検討した。訓練は1日に4セット行うこととし,訓練回数が少ない群を1セット10回,訓練回数が多い群を1セット30回とした。各セット回数での訓練期間を2日,4日,6日,8日,10日間と設定した。訓練期間の初めと最後に電子スパイロメータで換気機能を測定した。その結果,1セット10回10日間群の肺活量と%肺活量および,1セット30回10日間群の最大呼気速度については訓練前よりも有意に増加した。訓練前後の差においては,肺活量と%肺活量で10回10日間群より30回10日間群の方が有意に低値であった。以上から,Incentive Spirometryを使用した呼吸訓練により換気機能の向上を期待する場合は,10日間以上の訓練が必要であること,肺活量の向上には必ずしも多くの訓練回数を必要としないことが示唆された。