本研究は,戸建て団地に暮らす高齢者の孤立死予防を目指した地域づくりに取り組むための資料を得ることをねらいに,高齢者の歯の健康状態と積極的自尊感情,老年うつ,外出状態因果モデルを作成し検討した。その結果,モデルの適合度は,χ2/df値が1.515,CFIが0.956,RMSEAが0.072であり,モデルはデータに適合すると判断された。パス係数は,歯の健康状態から積極的自尊感情が0.324, 積極的自尊感情から老年うつが-0.428,歯の健康状態から老年うつが-0.278,老年うつから外出状態が-0.267であった。このことから,歯の健康状態は積極的自尊感情に正に影響するとともに,老年うつに負に影響しながら,外出状態に影響を与えることが支持された。
以上のことから,戸建て団地に暮らす高齢者の孤立死の予防をめざすために,口腔衛生活動の重要性とより良い自尊感情の維持・回復の重要性が示唆された。