本研究の目的は,特別養護老人ホーム(以下特養)での看取りの環境的構造と看取りの看護実践能力および看取りの実績における因果関係を検証することである。対象者は,ユニット型特養200施設と従来型特養300に勤務する看取り経験のある看護職1,000人である。特養の看護責任者と看護スタッフに対して,自記式質問紙郵送法調査を実施し,構造方程式モデリングによる分析を行った。その結果,159施設における298名の有効回答を得て,分析対象とした。そのうち,156名は看護責任者で,142名は看護スタッフであった。仮説とした因果モデルは,看護責任者と看護スタッフどちらのモデルも同等の適合度で収束し,因果関係が検証された。なかでも,看取り後のカンファレンスと看取り研修の開催頻度は,看取りの看護実践能力に強い影響を及ぼしていた。