2017 年 40 巻 2 号 p. 2_141-2_150
目的:看護学分野における「その人らしさ」の概念を明らかにし,その人らしく生きることを支える援助への活用可能性を検討する。
方法:『医中誌Web版(ver.5)』を用いて検索語「その人らしさ」で文献を抽出し,Rodgersの概念分析の手法を用いて分析した。
結果:「その人らしさ」は「内在化された個人の根幹となる性質で,他とは違う個人の独自性をもち,終始一貫している個人本来の姿,他者が認識する人物像であり,人間としての尊厳が守られた状態」と定義された。
結論:「その人らしさ」の概念に対する看護師の理解が深化することで,その人らしく生を全うできるための援助の実現可能性が高まる。「その人らしさ」を尊重した看護を行う際には患者の身体状況に考慮する必要があるため,看護師の職責が十分に発揮されることが重要である。また,「その人らしさ」の帰結は看護師がケアの場で「その人らしさ」をとらえる方法と同一と考えられた。