抄録
本研究は,家族介護者に必要な介護力構造因子に関連する要因,およびその介護力構造因子が介護負担感に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。対象者は家族介護者1,200名で,無記名自記式質問紙調査を実施した。有効回収数は661(有効回収率55.1%)であった。介護力構造因子の関連要因は要介護度,認知症,介護知識,年齢,性別,主観的健康観,介護期間,介護時間,介護援助者,介護相談者,介護継続意思であった。また介護力構造因子と介護負担感との関連では,【介護を肯定的にとらえる力】【介護生活からの転換力】は,高いと介護負担感が低く,一方【介護ケア実践力】【介護に対する負の感情表出力】は,高いと介護負担感も高かった。家族介護者に必要な介護力獲得への支援として,【介護を肯定的にとらえる力】を高めるとともに,情緒的なサポートや適切な介護方法を身につけ,介護生活から転換するための支援の必要性が示唆された。