抄録
症例は20歳男性,2007年3月末より38 ℃台の発熱出現し近医受診.CTにて縦隔リンパ節腫脹および両側肺野に10 mm内外の空洞性病変を複数認めた.気管支肺胞洗浄検査(BAL)および経気管支肺生検(TBLB)を施行するも診断確定せず,精査目的に同年6 月当科紹介となり,胸腔鏡下に肺とリンパ節の生検を行った.病理組織では壊死と硝子化を伴った類上皮細胞肉芽腫を認めるも悪性所見や結核菌等病原菌は認められず,サルコイドーシスの診断確定した.8月より食思不振,悪心嘔吐に頭痛も加わってきたため神経サルコイドーシスを疑われ入院し,MRIにて髄膜炎の所見があり髄液中の細胞数増加も認められ,サルコイドーシスによる髄膜炎と診断した.当初尿量増多は認めなかったが,プレドニゾロン(PSL)60 mg/day投与開始後に多飲多尿出現し仮面尿崩症が顕在化した.ステロイド投与により発熱や頭痛などの症状は改善みられ,髄液細胞数も減少したためステロイド漸減後退院,外来通院加療となった.