日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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シンポジウム
肺ランゲルハンス細胞組織球症の病理(病期別形態像の特徴,嚢胞形成機序,鑑別診断)
武村 民子
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2009 年 29 巻 1 号 p. 88-89

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抄録

ランゲルハンス細胞(L細胞)は肺においては,喫煙に関連して細気管支上皮に増加する.喫煙関連肺疾患として肺ランゲルハンス組織球症(PLCH)の初期病変はL細胞が呼吸細気管支を中心に結節状に増殖し,やがて中心部は洞化,あるいはL細胞の数を減じて,小葉中心性にヒトデ型の線維化として残存する.PLCHの大きな特徴である嚢胞形成は,L細胞による細気管支壁の破壊と隣接する細気管支との癒合により生じ,次第に拡大して不整形を呈すると考えられる.PLCHではL細胞の増殖は血管壁にもみられ,肺動脈,静脈の閉塞をきたす場合があり,また剥離性間質性肺炎様変化もみられる.鑑別診断には特発性肺線維症や細気管支中心性線維化をきたす慢性過敏性肺炎がとくに重要である.喫煙関連肺疾患のスペクトラムのなかで,L細胞が消失し,線維化のみの症例の位置づけに関しては今後の検討課題である.

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© 2009 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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