2020 年 12 巻 4 号 p. 356-359
症例の概要:患者は64歳男性, 咀嚼困難を主訴に来院した.各種検査の結果,下顎前歯部の咬耗と咬合高径の低下が診断された.咬合再構成を行うため,咬合高径の決定には,客観的な評価を用い,プロビジョナルレストレーションおよび治療用義歯にて咬合挙上を行った.その後,最終補綴装置を装着し,定期的に経過観察を行い,現在3年以上経過しているが良好な経過が得られている.
考察:咬合高径の低下に対して咬合再構成を行うことで,咀嚼機能および審美障害の改善を図ることができたと考えられる.
結論:セファログラム分析を参考とした客観的な評価は,咬合再構成を行う際の咬合高径の決定に,有効であることが示唆された.