日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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シンポジウム-肉芽腫性肺疾患の基礎と臨床
肉芽腫形成におけるマクロファージの役割
内藤 眞
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2010 年 30 巻 1 号 p. 93-94

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抄録

肉芽腫は刺激物質に対して生体防御機能を発揮するための新しい組織形成であり,マクロファージ,リンパ球,好酸球,形質細胞などから構成される.炎症巣には化学遊走因子によって多数の単球が動員されマクロファージに分化する.しばしば大型化したマクロファージである類上皮細胞や多核巨細胞の出現を伴う.肉芽腫の形成とその維持にはtumor necrosis factor α,interferon-γ,macrophage colony-stimulating factor,granulocyte macrophage colony-stimulating factor,interleukin-1などのサイトカインや増殖因子の作用が重要である.組織内に菌が侵入するとマクロファージがそれを取り込むが,菌が増殖するとマクロファージも集積して肉芽腫を作り,病変を押さえ込む.炎症が極期を過ぎるとマクロファージは炎症巣内の老廃・壊死物を除去し,種々増殖因子を介して線維芽細胞の増殖や血管新生を促し,肉芽組織で置き換え,さらに病変を縮小させる.このように肉芽腫中でマクロファージは炎症の発生から治癒,線維化の全過程に関与する.

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© 2010 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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