日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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症例報告
完全房室ブロックで発症し,腹腔鏡下肝生検にて確定診断しえた,サルコイドーシスの1例
杉山 英太郎竹中 孝加藤 瑞季蓑島 暁帆武藤 晴達乗安 和将藤田 雅章佐藤 実別役 徹生井上 仁喜寺西 純一岡本 洋菊地 健植村 一仁中村 浩士長谷部 直幸
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2012 年 32 巻 1 号 p. 119-126

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抄録

症例は31歳,男性.主訴は失神.自宅で洗面中に失神し,近医を受診.完全房室ブロックを認め入院,一時ペースメーカを挿入された後,当科を紹介された.完全房室ブロックが持続したため,恒久ペースメーカを植え込み,原因精査を行った.左室造影で心尖部に一部無収縮を認めたが,右室心筋生検では非特異的な所見のみで,確定診断には至らなかった.全身検索を行ったところ,CT上縦隔リンパ節腫脹,肺粒状影と肝脾内に多発する腫瘤を認め,肺,肝脾サルコイドーシスが疑われた.経気管支肺生検や経皮的肝生検では異常所見を認めなかった.肝脾の腫瘤はエコーでは同定できなかったため,確定診断のため腹腔鏡下で肝生検を行った.肝表面に黄白色の結節を確認でき,同部位の生検にて多核巨細胞浸潤を伴う類上皮細胞肉芽腫を認め,サルコイドーシスと診断しえた.サルコイドーシスの確定診断に,腹腔鏡下肝生検が有用であった.

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© 2012 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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