日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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症例報告
東日本大震災後に臨床所見に著しい変化を認めたサルコイドーシス5症例の臨床的検討
村松 聡士玉田 勉奈良 正之村上 康司海老名 雅仁一ノ瀬 正和
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2012 年 32 巻 1 号 p. 161-169

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抄録

サルコイドーシスの臨床所見,自然経過及び予後は症例によって大きく異なり様々なフェノタイプ分類が試みられてきている.なかでも生活様式の変化や精神的ストレスによってサルコイドーシスの臨床経過が左右される症例も多い.2011 年3月11 日の東日本大震災のような,同時期に広範囲で甚大な被害を引き起こした震災に伴う病勢の変化によるフェノタイプ分類を検討した報告は少ない.そこで今回,当院通院中の安定期サルコイドーシス患者の東日本大震災前後における病勢の変化を後ろ向きに検討した.サルコイドーシス通院患者全129 例中5例で病勢の変化を認め,うち2例は改善し3例は増悪していた.気管支喘息やCOPD等では震災後に増悪患者が増加しているとの報告が多いが,サルコイドーシス患者では増悪だけではなく改善している患者が存在していた点で興味深い.今後同様の症例を集積し因果関係も含めてさらに検討を行う必要があると考えられた.

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© 2012 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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