2019 年 39 巻 1_2 号 p. 49-53
第15回「千葉保之・本間日臣記念賞」受賞の契機となった研究内容を,3点に絞って紹介する.①1974年から2012年に自治医科大学付属病院呼吸器内科で新規診断されたサルコイドーシスの連続症例588例(組織診断群431例,臨床診断群157例)の臨床記録を疫学的・臨床的手法により解析し,日本人サルコイドーシスの臨床像とその時代的変遷を明らかにした.②日本人サルコイドーシスの発病における環境リスク要因の候補を見出した.いずれもTh1型免疫反応と免疫制御機構のバランス異常をきたし得るものであり,多発性硬化症を含む一部のImmune-mediated inflammatory diseases(IMIDs)で挙げられているリスク要因の候補と共通していた.③サルコイドーシス病態は,「経気道的に侵入した外来抗原に対する処理能力の低下とともに免疫寛容機構の破綻が深く関与している」ことを結論づけた.