日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
Online ISSN : 1884-6114
Print ISSN : 1883-1273
ISSN-L : 1883-1273
症例報告
肺病変急性増悪に先行して神経障害性疼痛を呈したサルコイドーシスの 1例
森 千惠 黒田 光中村 慧一堂下 和志藤田 結花山崎 泰宏藤兼 俊明辻 忠克
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 41 巻 1_2 号 p. 66-70

詳細
抄録

症例は 63歳,女性.右胸背部痛を主訴に近医を受診した。胸部 CTで両側肺門リンパ節腫脹を認め,サルコイドーシスが疑われ,精査加療目的に当科へ入院した.体幹痛は著明でありフェンタニル貼付薬を開始した.両肘両膝に扁平隆起性の皮疹を認め,皮膚生検を施行した.皮膚生検の病理診断は非乾酪性類上皮細胞肉芽腫であり,サルコイドーシスと確定診断した.入院 12日目に酸素化の増悪を認め,胸部 CTで両肺間質陰影の増悪を認めたため,酸素投与を開始した.プレドニゾロン( PSL) 60mg/日の内服を開始し,肺病変は速やかに改善した.体幹痛はサルコイドーシスによる神経障害性疼痛と考えた.また, PSL開始後より体幹痛は徐々に改善し,オピオイドを減量できた.サルコイドーシスによる神経障害性疼痛は難治性となることが多いが,当症例は PSL開始後,良好な疼痛コントロールが得られたため報告する.

著者関連情報
© 2021 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
前の記事 次の記事
feedback
Top