日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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原著
腫瘤型筋肉サルコイドーシスの臨床的特徴
荻野 俊平 長井 苑子半田 知宏谷澤 公伸池添 浩平泉 孝英
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2021 年 41 巻 1_2 号 p. 59-65

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抄録

 腫瘤型筋肉サルコイドーシス 12症例の臨床的特徴について検討した.発症は 50歳代の女性に多く,下腿筋肉内に腫瘤を触知して受診する症例が最も多かった.腫瘤型筋肉サルコイドーシスの画像診断は筋肉 MRI検査において特徴的な所見を呈することが知られているが,筋肉超音波検査においても MRI同様に特徴的な所見を全例で認め,簡便かつ有用な検査となりうることが示唆された.最長 13年間の経過観察で,筋力低下や筋肉萎縮を呈する症例はなく,検査所見で有意な CKやアルドラーゼ上昇を認めた症例はなく,無治療経過観察でも筋力障害を認めた症例はなかった.画像診断や治療にあたっては,「腫瘤型」と命名されているが,サルコイドーシス病変は線維化した腫瘤を内包して,筋束に沿って広く伸展していることに注意が必要であると考えられた.今後は筋原性酵素の上昇を伴いながら筋力低下と筋萎縮が進行する慢性ミオパチー型サルコイドーシスとの病態の相違解明が待たれる.

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© 2021 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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