2024 年 44 巻 1_2 号 p. 9-14
特発性肺線維症(IPF)を中心とした進行性肺線維症(PPF)は予後不良な間質性肺疾患群であると捉えられ,世界中で満たされない治療研究領域(unmet therapeutic research areas)として研究が進められている.サルコイドーシスは多臓器疾患として,PPFの性格を有する肺線維症を示すことが知られている.WASOGを中心に国際臨床ガイドラインが作成され,副腎皮質ステロイド(CS)と免疫抑制薬(IS)の併用を中心とした全身療法(diffuse therapy)から,単一の分子標的制御(targeted therapy)を目的とした治療評価が盛んに企画されている. わが国のサルコイドーシスは難病に位置づけられているが,稀少性,原因不明の一方で,重症度の高いサルコイドーシスは国際比較される中で多くはなく,医療現場での緊急性から遠のいている.しかし,交流の国際化の中で,生活習慣も変化する昨今,改めて原因不明の潜在的進行を示すサルコイドーシスに目を向け,診断遅延防止や鑑別の中で,重篤化しないための診療情報を共有しておきたいと考える. 現在,米国では抗GM-CSF抗体(narmilmab)や抗IL-1β抗体(canakinumab),抗IL-6抗体(sarilumab)といった単一分子標的による,PPFを対象とした臨床治験が進められている.また日本も参加する国際共同臨床治験としてneuropirin 2を標的とした広域治療が実施されている.サルコイドーシスをPPFとして,努力肺活量(FVC)を評価指標とした研究は,まさにスタートしたばかりである. ではPPFとしてわが国のサルコイドーシスはどの程度生命予後を脅かされているのだろうか? 臓器別のregistry dataを超えて,全身疾患としてのサルコイドーシスは複数の要因を総合的に評価するシステムが必要と考えられる.わが国では心・眼サルコイドーシスが多く報告され,実際に,心サルコイドーシスを標的とした臨床研究・治験(CHASM試験など)も企画されている. 本稿では今後の国際臨床試験を通して,PPF治療研究の現状と展望について述べる.