日本東洋医学系物理療法学会誌
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あん摩マッサージ指圧師養成学校における 校内臨床実習評価に関する調査
郡 拓也緒方 昭広
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ジャーナル オープンアクセス

2017 年 42 巻 2 号 p. 111-117

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抄録

【目的】国内のあマ指師養成校における校内臨床実習評価の実態を明らかにする。
【方法】あマ指師養成校88校(盲学校59校、専門学校23校、視障センター5校、大学1校)に 郵送によるアンケート調査を実施した。アンケートは校内臨床実習に関する1~6の領域、全23 問から構成される。
【結果】88校中52校から回答を得た(回収率59.1%) 。指導内容について、臨床実習を通じて重点 的に習得させたい能力として、あマ指の技術、コミュニケーション能力、身だしなみ・接遇、問 診技術、衛生管理能力が挙げられた。成績評価対象項目は、身だしなみ・接遇、衛生管理、問診・ 検査・あマ指の技術、カルテ管理、コミュニケーション能力の各項目を網羅的に評価している学 校が約70~80%であった。また、それらの評価方法は目視・触察が最も多く、補助的に患者アン ケート結果や実技チェックを併用している。項目別評価について79%の学校が必要性を感じてお り、62%の学校で項目別評価基準を用いて実施している。また、71%の学校に評価チェックシー トのニーズがある。事前指導として、スムーズな導入や実技力の確認目的でオリエンテーション やあマ指実技試験が実施されている。また81%の学校で毎回の実習後に事後指導が実施されてい る。あマ指臨床実習評価に対する意見では、客観的評価の困難さ、統一した基準の必要性、進路 を見据えた臨床教育の必要性が挙げられた。
【考察と結語】社会で求められているあマ指師像に対し、指導者が重点的に身につけさせたいと考 えている能力は適切にマッチングしている。あマ指治療の特性を考慮すると、客観的評価には限 界があると考えられるが、チェックシート等を活用した項目別評価を普及することで卒業段階で の均質化を図ることは重要と考える。

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© 2017 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
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