日本東洋医学系物理療法学会誌
Online ISSN : 2434-5644
Print ISSN : 2187-5316
報 告
フィンスイミングによる痛みの実態
- 年末合同合宿参加選手への実態調査 -
湯浅 安理宮本 俊和森山 朝正宮川 俊平
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2017 年 42 巻 2 号 p. 103-110

詳細
抄録

【緒言】フィンスイミングは1枚の足ヒレ、 モノフィン(monofin;以下MF)、あるいは2枚の足ヒレ、 ビーフィンを足部につけて泳記録を競う競技である。本競技に関する調査は少なく、フィンスイ ミングによる外傷・障害の情報は限られている。
【目的】本研究はフィンスイミング年末合同合宿参加選手を対象としたアンケート調査を行い、 フィ ンスイミングによる痛みの実態を把握することを目的とした。
【方法】対象は、2009年12月27日から29日に行われたフィンスイミング年末合同合宿参加選手 とした。調査項目は、身長、体重、競技歴、練習時間、参加大会、フィンスイミング中・後の痛 みの有無(腰部、足関節、肩)、全身の痛みの部位とその詳細(練習休止期間、発症時の状況、発 症要因、診断名、対処法)とした。
【結果】調査用紙は参加選手29名に配布し、29名中93.1%に相当する27名から回答を得た。フィ ンスイミングによる痛みを感じたことがあるのは 27 名中 25 名(92.6%) 、痛みは足関節 22 名 (81.5%)、腰部15名(55.6%)が多かった。詳細について記載のあった痛み57件中、足関節15件、 腰部12件が多かった。練習休止を要する痛みも腰部7件、足関節6件が多かった。発症時の状況 はMF競技・練習が47件と多く、発症要因はフィンの練習量増加20件が多かった。練習休止期 間が7ヶ月~1年と競技への影響が大きかったのは、MF使用時に発症した足関節の有痛性三角骨 障害であった。
【考察】痛みの部位として足関節・腰部が多かったのは、大きく重たいMFを足部につけて足関節 の底背屈、体幹屈曲伸展を繰り返す競技特性によると考えられる。
【結語】フィンスイミングによる痛みはMF使用時に多くみられ、 痛みの部位は足関節、 腰部が多く、 練習休止を要する痛みも足関節、腰部に多いことが明らかとなった。

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top