日本東洋医学系物理療法学会誌
Online ISSN : 2434-5644
Print ISSN : 2187-5316
原 著
運動前の温灸刺激によるカーフレイズ後の筋疲労軽減効果
- 自覚指標とエネルギー代謝による検討 -
矢澤 宏樹池宗 佐知子 古田 健祐大坂 拓哉中村 有沙眞壁 珠希市川 大起豊島 遼真
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2018 年 43 巻 2 号 p. 85-90

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抄録

【目的】スポーツ現場において、コンディション調整の一つとして鍼灸施術が用いられている。しかし、研究報告の多くは鍼刺激による効果であり、灸刺激の効果を検討したものは少ない。本研究では、運動3 日前からの温灸刺激が筋痛、筋疲労に及ぼす影響について自覚指標の変化を検討することを目的とした。さらに、運動前からの温灸刺激が運動継続におけるエネルギー代謝の動態について血中乳酸濃度および血糖値を指標に検討した。

【方法】対象者は本学の男子大学生29 名をランダムに無刺激群(Con 群、n=15)、温灸刺激群(Mox 群、n=14)に分けた。Mox 群は、運動負荷3 日前より対象者自身で利き足の腓腹筋内側最大膨隆部、外側最大膨隆部および承山穴部の3 か所に、温灸刺激を実施した。温灸刺激は、せんねん灸(竹生島、セネファ社製)を用いた。温灸刺激は1 カ所に最大3 壮行い、熱さに耐えられなくなった場合、その時点で温灸刺激を中止させた。筋痛・筋疲労の運動モデルは、効き足の片脚カーフレイズ(カーフレイズ)とした。対象者はカーフレイズをオールアウトまで実施することを1 セットとし、3 セット繰り返した。実験前後での血中乳酸濃度および血糖値を測定した。また、自覚指標として実験側の下腿の痛み・疲労感を実験前後および実験後7 日目まで測定した。自覚指標の測定は、Google のアンケートフォームを使用し、1(痛み・疲労感なし)~10(これまで感じた最大の痛み・疲労感)の10 段階の数値を毎日入力させた。また、実験前後での血中乳酸濃度および血糖値も測定した。

【結果】運動後の血中乳酸濃度は両群とも有意に上昇した(p<0.05)ものの、血糖値の変化はなかった。痛み、疲労感は実験前と比べ両群とも実験直後に値の上昇が認められた。また、Mox 群では、実験1 日後にCon 群と比べ疲労感が低値を示した(p<0.05)。

【考察・結語】カーフレイズによる運動後の筋痛、筋疲労について検討したところ、運動3 日前からの温灸刺激は、運動翌日の自覚的な疲労感を軽減させた。しかしながら、カーフレイズ運動におけるエネルギー代謝の変動に影響しなかった。運動数日前からの温灸刺激は、カーフレイズによる筋損傷の程度を軽減させ、自覚指標に影響を与えた可能性がある。

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© 2018 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
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