【目的】運動実験3 日前からセルフケアにて温灸刺激を実施し、運動後に発生する筋痛や筋疲労の
抑制効果を検討した。
【方法】本研究に同意を得られた男子大学生24 名を対象とし、ランダムに無刺激群(Con 群、
n=12)、温灸刺激群(Mox 群、n=12)に分けた。Mox 群は、運動負荷3 日前より対象者自身で利
き足の腓腹筋内側最大膨隆部、外側最大膨隆部および承山穴部の3 か所に、せんねん灸(竹生島、
セネファ社製)を介入させた。筋痛・筋疲労の運動モデルは、利き足の片脚カーフレイズとした。
これをオールアウトまで遂行させ、1 分間の休憩を挟み3 セット実施した。評価は、カーフレイズ
の回数および実験前後での利き足の筋力、筋硬度、自覚指標とした。自覚指標はGoogle フォーム
のアンケート機能を用い、1を痛みもしくは疲労感なし、10 をこれまで感じた最大の痛みもしく
は疲労感とし、10 段階で評価した。
【結果】運動回数および運動回数減少率は群間で差はなかった。下腿三頭筋の筋硬度はどの部位に
おいても実験後に上昇した(p<0.05 )が、群間での差はなかった。筋力はMox 群で実験後に低下
した(p<0.05 )。実験後の自覚的な痛みの変化量に群間差はなかったが、疲労感の変化量はMox
群で有意に減少した(p<0.05 )。
【考察・結語】運動3 日前よりセルフケアとして温灸介入を行った。その結果、Mox 群はCon 群と
比べ運動後の下腿三頭筋の筋力を有意に低下させたものの、自覚的な疲労感はCon 群と比べ抑制
させた。これらのことから、運動前の局所への温灸刺激は運動後の筋力を低下させる可能性があ
るものの、局所血流の増加や炎症メディエータを早期より活性させることで、疲労感の軽減につ
ながる可能性がある。