日本東洋医学系物理療法学会誌
Online ISSN : 2434-5644
Print ISSN : 2187-5316
原 著
腰部脊柱管狭窄症に対する鍼治療の効果(第2 報)
- JOABPEQ を用いた検討 -
小林 信満山口 智高橋 啓介
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2018 年 43 巻 2 号 p. 79-83

詳細
抄録
【緒言】腰部脊柱管狭窄症(LSS)は日常の鍼灸臨床で取り扱う頻度が高い。整形外科領域では LSS に対する評価法として日本整形外科学会腰痛評価質問票(JOABPEQ)が広く活用されている。 今回、整形外科的保存治療等で期待すべき効果が認められなかった慢性のLSS 患者に6 ヵ月間鍼 治療を継続し、JOABPEQ を用いて1 ヵ月間と6 ヵ月間での治療効果の差異を検討した。
【方法】研究デザインは過去起点コホート研究、非盲検前後比較試験とし、セッティングは本学2 施設で行った。選択基準は他院・本院整形外科でLSS の診断を受け、薬物療法や運動療法等(整 形外科的保存治療等)で期待すべき効果が認められなかった者、罹病期間3 ヵ月以上、治療期間 は6 ヵ月間とした。評価はJOABPEQ 及び付属のVAS で初診時治療前と1 ヵ月、6 ヵ月後の治療 前に評価した。
【結果】抽出された患者は9 例(男性5 例、女性4 例)、年齢は中央値(最小値- 最大値)で72(68-81) 歳であった。腰痛、殿部・下肢痛、殿部・下肢しびれのVAS は、それぞれ有意な変化が認められなかっ た。鍼治療によるJOABPEQ の有効率は1 ヵ月後→ 6 ヵ月後で疼痛関連障害50 → 100%、腰椎機 能障害11 → 44%、歩行機能障害25 → 25%、社会生活障害0 → 22%、心理的障害11 → 44%であっ た。初診時と6 ヵ月後の疼痛関連障害で有意差が認められた。
【考察・結語】6 ヵ月間の鍼治療により、疼痛関連障害は顕著に改善し、1 ヵ月間より有意に向上 した。また、腰椎機能障害、心理的障害も概ね改善したが、腰痛や殿部・下肢痛、しびれについ ては期待すべき効果が得られなかった。これらのことから、疼痛は残存しているものの、睡眠の 質や日常生活における身体の動きが向上したため疼痛関連障害等が改善したものと考える。以上 より、整形外科的保存治療等で期待すべき効果が認められないLSS に対する鍼治療は1 ヵ月間よ りも6 ヵ月間のほうがQOL に及ぼす影響は大きいことが示唆された。
著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top