抄録
【目的】関節可動域(以下、ROM)測定アプリ「CAST-R」の信頼性を検討すること。
【方法】実験 1 として、検者 1 名が被検者 7 名の 5 部位の ROM 測定を行った。実験 2 として、検者 17 名(晴眼者群 8 名、視覚障がい者群 9 名)が、被検者 1 名の肩の外転と外旋の ROM 測定を行った。ROM 測定は、1ゴニオメータでの測定(以下、ゴニオ測定とする)、2 CAST-R をインストー ルした iPhone の上面または側面をゴニオメータのアームと同じように移動軸に合わせる測定法(以 下、移動軸測定)、3 CAST-R をインストールした iPhone の背面全体を移動軸上の体表面に密着させる測定法(以下、体表面測定)を 3 セット実施した。各測定法間の ROM 測定値の比較を Turkey 法、 検者内・検者外信頼性の検討を級内相関係数を用いて行った。ROM 測定値の逸脱例については、 行動観察法による要因分析を実施した。
【結果】実験 1 の結果、いずれの測定部位および測定法においても、測定法間の差はみられず、高 い検者内信頼性を示した。実験 2 の結果、肩の外旋のゴニオ測定で有意に大きいROM測定値、肩の外転で低い検者内・検者間信頼性を示した。行動観察では、主に肩の外旋のゴニオ測定において不適切な測定操作が多く認められた。
【考察】実験 1 から、CAST-R の移動軸測定、体表面測定での高い測定精度と検者内信頼性が示された。 実験 2から、測定法間の差は、肩の外旋での不適切なゴニオ測定が要因であること、外転でみら れた低い級内相関係数は測定値の極端に小さい分散が影響している可能性が示された。以上のこ とから、CAST-R による移動軸測定および体表面測定は、検者の視覚障がいの有無に関わらず、ゴ ニオ測定と同等の信頼性を有する測定法であると考える。一方、CAST-R の不適切な操作による逸脱例が散見されており、従来の角度計とは異なった測定デバイスである CAST-R の適切な使用法 や指導法の検討が必要と考える。
【結語】CAST-R は、検者の視覚障がいの有無に関わらず、ゴニオ測定と同等の信頼性を有する測 定法であることが示された。