抄録
脳卒中は、わが国において死亡原因の第4 位を占め、全介助状態に相当するいわゆる寝たきり(要介護5)になる原因としては第1 位の疾患である。脳卒中の発症に対して、急性期治療および回復期リハビリテーションを行っても、後遺症により今までできていたことができなくなることは少なくない。その結果、うつを発症することが多い。今回は脳卒中ガイドライン2021に掲載されている鍼灸治療について解説し、うつ、中枢性疼痛、肩手症候群に対する鍼灸治療の実際について私見を述べる。今後は、チーム医療に鍼灸師が介入するためには質の高い臨床研究と、脳卒中の主治医や看護師、PT、ST などとの共通言語で共通理解できることが必要不可欠である。
患者とその家族等は、突然の発症に対する戸惑い、後遺症や後遺障害により自宅での生活が不自由になったことへの悲しみ、将来への不安など様々な悩みや苦しみが出現する。一方、脳卒中に対する医療・ケアは、地域における医療連携や医療介護連携等により行われており、個々の患者とその家族等に対する医療・ケアは、急性期医療機関から回復期リハビリテーション病院、維持期(生活期)の療養型病院・施設などへ転院するごとに新たな別の医療・ケアチームが担当することになる。このような脳卒中の特性から、治療行為を超えて、患者および家族等の悩みや苦しみを和らげる緩和ケアへの継続的な取り組みが不可欠である。このような状況の中、鍼灸師も連携を行うためには、共通言語・評価を行い、何を提供できるのかも提示していかなくてならない。そこで、今回はガイドラインで推奨されている症状とエビデンスと鍼灸の実際について論述する。