抄録
【目的】あん摩、鍼は視覚障害者の職業別就職状況で最も高い割合を占めているが、近年特別支援学校の理療関係学科の在籍生徒数は減少し、卒業生の就労先職種にも大きな変化がみられる。こうした状況を踏まえて、適切な進路指導を行うためには、生徒の就労に関する意識を把握する必要がある。そこで全国調査により生徒の就労希望職種とその選択理由を明らかにし、理療関係職種への就労を促すための方策を検討した。
【方法】特別支援学校理療関係学科生徒725 名にアンケート用紙を送付し、無記名自記式質問紙法により回答を求めた。調査項目は、「学校名、学科名、学年、年齢、性別、視力、主な使用文字、視覚障害者を対象とする特別支援学校入学時の年齢、理療関係職種への就労希望の程度とその理由、理療科教員としての就労希望の程度とその理由、施術者としての就労希望職種とその理由、施術者としての就労希望職種への就労可能性の意識とその理由」であった。
【結果】44 校(75.9%)、 367 名(50.6%)より回答が得られた。理療関係職種を希望する者は約95% で、理療への興味・関心、患者との交流の得手・不得手、経済的安定性が影響していた。理療科教員を希望する者は約13% で、業務の魅力と負担感、雇用の安定性が関係していた。施術者としての希望就労先職種は、治療院、ヘルスキーパー、高齢者施設の順に多く、選択理由はその職種への興味・関心と就労の可能性であった。
【考察】生徒の就労意欲を高めるためには、理療関係職種全体については理療の魅力の情報提供、コミュニケーションの機会の設定、視覚障害を補うための福祉制度の活用が有効な方策となる可能性が示唆された。理療科教員については仕事のやりがいや魅力についての情報発信が必要であると考えられた。施術者については、各職種で働く視覚障害者からの視覚障害を補うための工夫点の情報共有が効果的である可能性が示唆された。