日本ペインクリニック学会誌
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症例
三次元動作分析システムを用いた脊髄刺激療法前後の痛み関連運動障害の評価
牛尾 倫子住谷 昌彦辛 正廣四津 有人大竹 祐子戸島 美智生張 雅素関山 裕詩山田 芳嗣
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2012 年 19 巻 1 号 p. 44-47

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抄録
脊髄刺激療法(spinal cord stimulation:SCS)は難治痛に有用であり,最近はパーキンソン病などの運動変性疾患にも応用されている.今回,脊髄変性症による両下肢痙性不全麻痺を呈していた61歳男性にSCSを行い,下肢運動機能への影響を,光学式三次元動作分析システムを用いて評価したので報告する.患者は,発症時から動作(特に座位からの立ち上がり動作)時に左腰痛が起こり,痛みは徐々に増強し,数値評価スケール(numerical rating scale:NRS)で8であった.各種の薬物療法に抵抗性であったので,第10胸椎レベルでのSCSを行い,痛みはNRSで5に改善した.座位からの立ち上がり動作の分析で,SCS施行前には5.5±0.5秒を要していたがSCS後には4.0±0.1秒(P<0.05)に短縮した.さらに,SCS使用時は骨盤と体幹のアライメントが10.0±6.8°前傾(P<0.05)し,歩行姿勢が改善した.SCSの効果判定には痛みだけの改善でなく,生活の質全体への影響が求められ,三次元動作分析システムを用いた運動機能評価はその一助となりうる.
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© 2012 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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