日本ペインクリニック学会誌
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症例
硬膜外局所麻酔薬注入後に脊髄ミオクローヌスによると思われる下肢の不随意運動を生じた1症例
渡辺 逸平持田 崇山本 豪森平 貴松橋 麻里
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2012 年 19 巻 2 号 p. 86-89

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抄録
硬膜外ブロック後に脊髄ミオクローヌスと思われる下肢の不随意運動を生じた症例を報告する.患者は86歳の女性で,帯状疱疹後神経痛の治療で持続硬膜外中に,1%メピバカイン6 mlを硬膜外に単回注入した.約30分後より,右足全体の強直性の異常運動が発現し,強さと頻度が次第に増強し,45分後には左下肢にも発現した.その間の意識は清明で,自分で異常運動を制御するのは不可能であった.下肢の異常運動は,約1時間持続し,2時間後より回数が減少し,約3時間後にはほぼ消失し,歩行が可能となった.MRIでは,硬膜外カテーテル刺入部付近に明らかな異常所見はなかったが,C4からC7レベルに背髄空洞症の所見があった.硬膜外カテーテルによる機械的な刺激や血腫,神経損傷などは考えられず,脊髄ミオクローヌスと判断した.
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© 2012 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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