日本ペインクリニック学会誌
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症例
頸椎椎間板炎に対し超音波ガイド下に穿刺排膿を行うことで症状の改善を得た2症例
旭爪 章統中本 達夫堀江 里奈寺井 岳三
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2015 年 22 巻 2 号 p. 96-100

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抄録

頸椎椎間板炎(CD)は膿瘍による炎症と痛みを伴い,治療には迅速な起因菌同定が重要である.頸椎ではCTや透視下での穿刺排膿はためらわれ,血液培養により同定することも多い.ペインクリニック領域では超音波ガイド下(USG)ブロックが普及し,頸部への穿刺手技は一般化してきた.今回CDに対してUSG穿刺排膿を行った症例を経験した.症例1は62歳,男性.高熱で救急搬送,検査で腹膜炎を疑われ抗菌薬加療をしたが症状の改善が乏しかった.C6/7にCDによる膿瘍を確認,マイクロコンベクスプローブを用いたUSG穿刺を行った.排膿により頸部~背部の痛みが改善,培養で起因菌を同定し抗菌薬変更にて症状の改善を得た.症例2は51歳,女性.頸部痛で整形外科外来通院中に高熱と痛みで救急搬送された.C5/6のCDによる椎間板全体~脊柱管に及ぶ膿瘍を確認,リニアプローブを用いたUSG穿刺を行った.培養で起因菌を同定し,抗菌薬変更にて症状の緩解を得た.USG法のメリットは構造の可視化とリアルタイム性である.現在神経ブロックで幅広く応用されているが,今回のような症例でのUSG穿刺排膿は診断・治療・鎮痛に有用と考える.

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© 2015 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
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