抄録
腹部片頭痛は国際頭痛分類で小児片頭痛に分類されており,小児に発症することが多い疾患である.成人例も報告されているが,症例数が少ないためあまり認知されていない.そのため,診断や治療に難渋することがある.今回われわれは,国際頭痛分類の診断基準に準じて腹部片頭痛と診断し,発作痛に対してトリプタン・インドメタシンが著効して,バルプロ酸が発作予防に効果的であった成人例を経験した.成人腹部片頭痛はまれな疾患ではあるが,その症状は特異的で小児腹部片頭痛の診断基準を用い,発作に関する問診,他疾患の否定により診断が可能な疾患である.また,その治療は片頭痛の治療に準じて行うことで効果が期待できると考える.