2024 年 31 巻 6 号 p. 99-105
腰下肢痛以外の疼痛疾患を,腰下肢痛を除く運動器疼痛群(M群)と非運動器疼痛群(NM群)に分け,学際的痛み治療による痛みの改善とpain disability assessment scale(PDAS)の改善との関連を調べた.施設倫理委員会の承認後,3カ月以上持続する慢性痛を主訴として2018年7月から2020年2月に当センターを受診した18歳以上の患者に,初診時および3カ月後に自記式質問票調査を行い縦断的に追跡できた101人を解析した.両群で初診時と比較し3カ月後にnumerical rating scale(NRS)の有意な低下があった(M群:p<0.001,NM群:p=0.02).M群で3カ月後のPDASは有意に低下したが(p=0.01),NM群ではPDASの統計学的に有意な変化はなかった(p=0.20).M群では痛みの改善に伴ってPDASも改善したが(r=0.50,p<0.001),NM群では痛みの改善がPDASによる生活障害度評価の改善に直結せず(r=0.03,p=0.91),疾患特異度の高い生活障害度評価法の必要性が示唆された.