1998 年 5 巻 1 号 p. 11-16
脊椎転移 (31例) による疼痛 (51例) に対して, 神経ブロック治療を行ない, 有用性を検討した. 背部痛27例は, 脊髄神経後枝内側枝を介する疼痛と考えられ, 同浸潤ブロックで67%が有効 (平均有効期間6.4日), 同高周波熱凝固法で89%が有効 (同, 14.7週) であった. 神経根性痛と考えられた四肢や体幹の疼痛24例は, 神経根ブロックで58%が有効 (10週), 同高周波熱凝固法で75%が有効 (6.7週) であった. 全体の87%で, ADLの改善がみられ, 入院患者23例中8例は, 一時退院可能となった. 脊髄神経後枝内側枝ブロックおよび脊髄神経根ブロック (高周波熱凝固法を含む) は, 脊椎の安定性には寄与しないが, 止血・凝固機能異常をきたすほどの末期患者でないかぎり適応の制限はなく, 反復施行も容易である点から, 病変が進行・拡大する脊椎転移の疼痛治療に有用である.