1997 年 63 巻 6 号 p. 807-811
原子ピークの追跡を用いた角度変化 (ヨーイング) 測定の基礎実験を行った.
(1) 探針回転法によって, グラファイト原子のピークを検出できた.
(2) 原子ピークの追跡による角度変化 (ヨーイング) 測定に関しては, 計算値と実験値では差がみられた.計算値2×10-8radの角度変化に対して, 実験値は9×10-8radであった.その差の原因としては, トンネル電流の安定性不足, 切欠きヒンジの不具合 (グラファイトの垂直方向への変位の発生), 圧電素子の非線形性などが考えられる.
今後の課題としては, トンネル電流の安定化, 量子箱・グレーティング等の原子に代わる規則的微小パターンの追跡ターゲットとしての利用, 再現性チェック, 3つの角度検出の非干渉性の検証などが挙げられる.