精密工学会誌
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圧電素子と感温磁性体からなる光駆動走行マシン
福島 健一大谷 幸利吉澤 徹
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1998 年 64 巻 10 号 p. 1512-1516

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抄録

本研究では光をエネルギー源として利用し, 光-熱-仕事変換による光駆動走行マシンを開発した.これは, 駆動エネルギーを非接触で供給でき, また遠隔操作も可能である.静電吸着と感温磁性体による芋虫駆動をすることで, より確実な駆動が可能となり移動量も増大した.
脚部においては, 直径の違う2種類の圧電素子の静電吸着を調べ, これが芋虫駆動においてアルミ基板との固定, 脱着に有効であることを示した.また, 胴部においては感温磁性体の磁気特性を利用し, 芋虫駆動に応用した.
さらに, エネルギーを供給する光源はハロゲンランプから半導体レーザに変えた.これにより実験システムの小型化はもちろん, 光駆動走査マシンのより効率の良い駆動を達成した.これは現在までの応答性の悪さの理由, つまり加熱速度にあるのではなく冷却速度によることの改善にも非常に有効である.光源の半導体レーザは適当なレンズを用いれば, スポット径をさらに小さく絞ることが可能である.このことから将来はさらに光駆動走査マシンの小型化に十分対応することができる.また, 今回提案したガルバノミラーを用いたレーザ照射装置はビームを遠隔でかつ任意に走査できることから, 今回の光駆動走査マシンを2軸以上に組み合わせることにより, 3次元状の任意遠隔駆動が可能になると考えられる.ここでの遠隔操作のための光の照射点はCCDカメラやPSDなどのセンサを用いて, レーザビームを追いかけることによってフィードバック等の制御が可能となる.

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