2024 年 23 巻 2 号 p. 165-179
本稿の目的は,ストレスマネジメント型と相互援助型という2種類のSOSの出し方教育を実施し,その効果を検証することであった。参加協力校である中学1年生の3学級(計102名)は,学級ごとにストレスマネジメント型プログラムを受ける群,相互援助型プログラムを受ける群,待機群の3つに割り付けられた。そして,プログラムの実施前後における尺度得点を比較すると共に,生徒の感想の分析も併せて行った。
介入の結果,ストレスマネジメント型プログラムは,尺度上,有意な変化は確認されなかった。また,相互援助型プログラムでも,友人援助自己効力感尺度において一定の効果が示唆されたのみに留まった。ただ,プログラムを受けた生徒の感想の分析も含めると,個人のみに焦点をあてたプログラムではなく,学級内での相互援助を促進する活動や相談することの有益性を生徒が認識できる内容がSOS の出し方教育の趣旨には適しているという結論が示された。