2026 年 25 巻 2 号 p. 203-215
学校風土(school climate)は,学校生活の質,特徴を表す。本研究は,わが国の学校教育の文脈に適合し,なおかつ学校組織全体が改善すべき課題の特定が可能な学校風土尺度の作成を目的とした。本調査には,小学校4年から6年の児童464名,中学校1年から3年の生徒533名が参加した。調査に用いた尺度は,「学業」「コミュニティ」「安全」の3領域より抽出した25項目の質問で構成され,4件法で尋ねるものであった。探索的因子分析によって,先行研究が想定する1因子解,本研究で想定していた3因子解,平行分析に基づく4因子解を抽出した後,確認的因子分析により適合度指標を比較検討した。その結果,尺度は「先生のサポートと公平さ」「児童生徒同士の助け合いと受容」「安全」の3因子構造の妥当性が示された。内的一貫性の検討から,信頼性が確認された。収束的妥当性の検討では,本研究で開発した尺度の総得点及び因子ごとの得点が,学級適応感尺度(江村・大久保,2012)の総得点及び各下位尺度得点のすべてと有意な相関が認められた。これらの結果から,本研究で開発した尺度は,わが国の学校風土として一定程度解釈可能なモデルを構築すると考えられた。今後は,本研究で開発した尺度が,学校ごとの教育活動の進捗をアセスメントするツールとして適用されることが期待される。