抄録
【目的】長期入院高齢患者の栄養管理においては三大栄養素に比べ、ビタミンや微量元素の投与は、重要性の順位が後位に置かれる傾向にある。今回、微量栄養素の重要性を考慮した栄養管理を行うことの意義を検討することを目的に無作為化前向き試験を行った。
【方法】入院中の高齢者を、通常の食事の前に微量栄養素を高濃度に含有するゼリー (1カップ70mL/day) を90日間摂取させる群 (VJC投与群) とさせない群 (非投与群) に割り付け、血液検査による栄養状態の評価、発熱頻度を比較検討した。
【結果】投与群においてトランスサイレチン (以下、TTR) が投与前に比べ有意に増加し、投与後90日目におけるTTR値と投与期間内における累積発熱回数との間に有意な負の相関が認められた。これに対し非投与群ではこれらの傾向は認められなかった。
【結論】長期入院高齢患者の栄養管理においては、ビタミン及び微量元素の強化は三大栄養素に配慮することと同等に重視すべきであることが示唆された。