静脈経腸栄養
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特集:NST活動と薬の知識
輸液製剤と微量元素―その意義と問題点―
東海林 徹
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2011 年 26 巻 4 号 p. 1077-1083

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抄録

TPN輸液製剤の開発に伴い、格段に簡便性が上がった。その反面、新たな問題が提示されることになった。今回、微量元素製剤を組み込んだTPN製剤が発売されたが、はたして貧血予防に日常的な鉄の投与が必要かという疑問が生じてきた。そこで、体内での鉄の代謝を知るべくまとめた。体内での鉄は閉鎖系回路であり、排泄は1mg/dayとわずかである。静脈鉄製剤の投与は長期になると、鉄過剰症が引き起こることが報告されている。この原因にはコロイドの様式が問題ではあるが、いずれのコロイドでも起こる可能性がある。貧血のない患者への微量元素製剤は慎重に投与すべきである。
コロイド鉄は水溶液で安定であるが多量の電解質あるいは総合ビタミン剤によって沈殿してくる。したがって、微量元素製剤の投与時にはフィルターの装着を推奨する。

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© 2011 日本静脈経腸栄養学会
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