抄録
今や、栄養支援の最前線は病院から地域へと移りつつある。独居高齢者は増加し、身体機能障害やうつ病、認知症などに起因する摂取不足や、栄養バランスの破綻、服用薬剤の間違いなどが散見する。身体的・精神的・経済的および社会的要因が複雑に関連していることや、複数の医療機関を受診した結果に、多数の薬剤が処方されている実情を理解する必要がある。高齢者への多剤投与は副作用が多発することが知られている。また、食欲低下の原因になることも希ではない。
在宅や介護施設で栄養支援に携わるには、対象となる要介護者が抱える疾患と薬剤の知識が欠かせない。「原因不明の食欲低下は、まずは薬剤を疑え」と言っても過言ではない。医療と介護の連携で注意深い観察が必要である。