日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
原著
弛緩出血症例における大量輸血の予測因子に関する検討
中金 朗子望月 純子大西 庸子服部 響子吉村 嘉広関口 和企金井 雄二海野 信也
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2021 年 57 巻 1 号 p. 19-25

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抄録

 弛緩出血症例における大量輸血の予測因子を後方視的に検討し,適切な母体搬送の時期を判断する指標について考察した.対象は赤血球液と新鮮凍結血漿を輸血した症例のうち,主な出血原因が子宮弛緩と考えられた88例.10単位以上の赤血球液を輸血した大量輸血群(MT群)は46例,非大量輸血群(非MT群)は42例.当院での治療前の血中ヘモグロビン濃度(Hb),血小板数(Plt),血中フィブリノゲン濃度(Fib),ショックインデックス(SI)は両群間で有意差を認めた.多変量解析で,Fib ≦ 171mg/dLとSI ≧ 1.3が大量輸血の予測因子として抽出され,オッズ比(95%信頼区間)は,各々 4.81(0.62-0.83),7.40(0.61-0.82)だった.陽性的中率は各々 73%,82%であり,弛緩出血症例におけるFib ≦ 171mg/dL,SI ≧ 1.3は,高次施設への搬送を決定する指標であることが示唆された.

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© 2021 日本周産期・新生児医学会
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