2021 年 57 巻 2 号 p. 339-342
子宮筋腫合併妊娠の頻度は全妊娠の0.3-2.6%といわれており,妊娠中に一過性の変性痛がおこり鎮痛が必要となることがある.妊婦の高齢化に伴い,今後,その頻度はさらに増えていくと予想され,妊娠中の子宮筋腫変性痛のリスク因子を明らかにするため後方視的検討を行った.2015年4月〜2019年6月に杏林大学医学部付属病院で妊娠管理を行った子宮筋腫合併妊娠の妊婦(109例)を対象とした. 母体背景,子宮筋腫の所見,治療を診療録より後方視的に抽出し,対象をI群:治療なし(無症状),II群:治療あり・入院なし(外来で経口鎮痛薬を処方),III群:入院あり(鎮痛薬を点滴静注)の3群に分け,各項目について3群間で比較した.結果はI群と比較してII群・III群は有意に漿膜下筋腫の頻度が高く(p < 0.001),漿膜下筋腫をもつことが子宮筋腫変性痛の独立したリスク因子として抽出された.