2022 年 58 巻 1 号 p. 105-109
羊水過多の程度と児の予後および原因疾患との関連性と,羊水過多症における出生前診断の精度を明らかにすることを目的とした.2015年から2019年に当院で分娩となった羊水過多症の単胎妊娠84例を対象とし,重症度を第3三半期のamniotic fluid index(AFI)により3段階(軽度:AFI 25〜29cm,中等度:30〜34cm,重度:35cm以上)に分類した.原因疾患が胎児因子である割合は,軽度(20%)と比較し中等度以上(54%)で有意に高かった.1年以内の死亡率は,羊水除去を要した例(55.6%)および染色体異常を有する例(72.7%)で有意に高かった.また,出生前診断の精度は92%と過去の報告より高かった.羊水過多症の重症度が高いほど原因疾患が予後不良の胎児因子である可能性が高く管理に注意を要することが明らかになった.