2022 年 58 巻 1 号 p. 152-157
乳児血管腫は早産児,低出生体重児に多い.また,増殖期の中でも特に生後5.5〜7.5週で最も急速に増大することが多い.しかし,低出生体重児や生後5週未満の児に対するプロプラノロール投与の安全性は確立していない.今回早産児・極低出生体重児の乳児血管腫に対し,後遺症のリスクが高いと判断し,早期からプロプラノロールを投与した2症例を経験した.1例は問題なく治療できたが,もう1例は肝機能障害のため6週間で治療を中止した.有効ではあったが安全性には注意が必要であった.早産児や低出生体重児であっても,乳児血管腫の後遺症を防ぐよう早期からプロプラノロールを投与しても良いと思われる.ただし,慎重にモニタリングを行い,副作用には十分注意しなければならない.副作用がみられた場合は投与中止の判断も必要である.