日本周産期・新生児医学会雑誌
Online ISSN : 2435-4996
Print ISSN : 1348-964X
症例報告
妊娠25週に常位胎盤早期剥離から子宮破裂をきたした子宮筋腫核出術後妊婦の一例
河野 智考森 向日留金本 嘉久三谷 尚弘末光 徳匡門岡 みずほ古澤 嘉明
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 59 巻 1 号 p. 122-126

詳細
抄録

 常位胎盤早期剥離(以下早剝)は母児共に予後不良となりうる重篤な合併症であり迅速な診断と対処が必要とされる.早剝に続発して子宮破裂をきたすことは稀である.症例は29歳,1妊0産,開腹子宮筋腫核出術後7カ月目に自然妊娠成立.妊娠25週時に下腹痛を主訴に前医受診.胎盤後血腫と胎児徐脈を認めたため当院へ搬送され,早剝による出血性ショックの診断であった.外出血はなく,搬送後も胎盤後血腫は増大し胎児死亡に至った.母体は播種性血管内凝固症候群へ進展する可能性が高い状態であったため他専門診療科と連携して全身管理を行い,分娩方法を検討する中,突然子宮破裂を合併した.緊急手術により破裂部位を修復し子宮を温存した.術後に挙児希望あり子宮破裂から1年後にセカンドルック手術にて子宮筋層の評価を行った.子宮手術既往のある早剥には子宮破裂が併存する可能性があるため,帝王切開も念頭に集学的管理を行う必要がある.

著者関連情報
© 2023 日本周産期・新生児医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top