日本周産期・新生児医学会雑誌
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症例報告
非瘢痕子宮の下部側壁に生じた不全子宮破裂の一例
瀬尾 優太朗小寺 千聡西村 朗甫値賀 正彦山口 宗影齋藤 文誉本原 剛志大場 隆近藤 英治
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2023 年 59 巻 1 号 p. 132-137

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抄録

 子宮破裂の多くは子宮切開の瘢痕部が陣痛発来後に破裂する瘢痕子宮破裂であるが,手術既往のない非瘢痕子宮においても子宮破裂は生じうる.今回われわれは,非瘢痕子宮の下部側壁に生じた不全子宮破裂の一例を経験した.症例は32歳の2妊1産女性で,子宮切開の既往はなかった.妊娠39週6日に3,390gの男児を頭位で経腟分娩した.分娩後1時間で臀部痛が出現し,2時間後に外出血が増加したことを契機に頸管裂傷が疑われ当施設へ搬送された.到着時のショックインデックス(SI)は2.0で腹腔内出血は同定されず,輸血の急速投与を行うもバイタルサインの改善は乏しく,一時的に心肺停止に陥った.心肺蘇生による心拍再開後に施行したCT検査で不全子宮破裂に伴う後腹膜血腫と診断し,子宮全摘出術を施行した.非瘢痕子宮においても,経腟分娩後に外出血と相関しないSIの上昇や臀部痛の出現が認められる場合は子宮破裂の可能性を考慮する必要がある.

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© 2023 日本周産期・新生児医学会
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