2023 年 59 巻 2 号 p. 166-173
【目的】3次元走査分析器(3Dスキャナー)を使用して,日本人健常乳児の生後1,3,6カ月の頭蓋形状の基準値を作成した.
【方法】3DスキャナーArtec Evaを使用して計3回の頭蓋の計測を行った.成長関連パラメータ(頭蓋長,頭蓋幅,頭蓋高,頭蓋周径,頭蓋体積)と,対称関連パラメータ(Cephalic index(頭指数),Cranial Asymmetry(頭蓋非対称差),Cranial vault asymmetry index(頭蓋非対称性指数),前頭部対称率,後頭部対称率)の各月齢の平均値と標準偏差を算出した.
【結果】対象数は生後1カ月165人,生後3カ月108人,生後6カ月91人であった.成長関連パラメータは経時的に増加した.対称関連パラメータは生後3カ月には悪化し,6カ月時には改善傾向となった.変形性斜頭症の有病率は,生後1,3,6カ月でそれぞれ47.3%,58.3%,45.1%であった.短頭症の有病率は,13.3%,21.3%,22.0%であった.
【結論】3Dスキャナーを使用して乳児の頭蓋形状の基準値を作成した.このデータベースは,今後頭蓋変形の治療方針の決定に有益となるであろう.